で、ずっと『1、2、3』『1、2、3』『1、2、3』『1、2、3』……ってやってたら、思い出してきたのは言わずもがな『世界のナベアツ（=桂 三度）』さんのことです（笑）

いつの間にか、彼の何が『オモロー』だったのかを考えてしまってました。

まずは、知らない方のために『世界のナベアツ』さんという方の最も有名なネタを紹介します。それは『3の倍数と、3のつく数字でアホになります。』というネタです。

私はこれを始めて聞いた時、正直、意味がよく分かりませんでした。

しかし、彼がネタを始めるとだんだんとルールがわかってきます。彼は姿勢を正して、凛々しい声で「1」「2」といった後、全身の力を緩め、だらしない声で「さ～ん」と言います。すぐに姿勢を正して「4」「5」そしてまた気の抜けた姿勢と声で「ろ～く」といいます。

分かりましたか？ほとんどの人がこのあたりでルールが明確になってきます。そこで、次にアホになるのがいつなのかを『予想』し始めてしまいます。再びイケボに戻って「7」「8」。アホになって「きゅ～う」。凛々しく「10」「11」。

ここまでくると、次はアホで「じゅ～に～」が来ることをもう『期待』しているんです！

そして、彼は予想通りに「じゅ～に～」と言う。

予想通りの展開がくると、『安心感』と共に笑いが込み上げる。

コレ、鉄板ですね。吉本新喜劇の笑いもこのパターンが多いですね。「来るぞ来るぞ～キタ～！！」っていう笑いのパターンです。

ここで次の13が第二のポイント！

ネタを知らない方は13がどう来るか想像してください。このネタはそもそも、『3の倍数と、3のつく数字でアホになる』というルールですから、次の13は……

はい、アホです！「じゅ～さ～ん」。

「じゅ～に～」「じゅ～さ～ん」と『連続アホ』の状態があることを、私たちは経験するんです！これが重要なんです！！

で、凛々しい「14」の直後、アホな「じゅ～ご～」を聞いて、感覚の狭いアホの絶妙な面白さを楽しむ。

「16」「17」「じゅ～は～ち～」……聞いている我々の方は残念ながらだんだんと慣れてくる＝飽きてくる（笑）そんなに面白くないリズムを刻む『3の倍数』のアホに飽きてしまった我々は、不規則なリズムでやってくる『3のつく数字』が面白くなり始める。そして、我々聴衆は彼が「29」を数える前に気づくわけです。「30～39」の10『連続アホ』に！！

これを妄想して先に笑い、予定通りの10連続アホに、自分が間違っていなかっ た『自己肯定感』と、予定通りに事が進んでいる事の『安心感』でまた笑う。

彼はイケボで「40！」と数えてネタを終える。